フランス

 なおフランスの温泉法によれば、「地表に湧き出た時点で35℃以上の水」を 温泉として認定しているという。水質は一般に炭酸塩を多く含み、飲むにも入浴にもすぐれており、 特に消化器、呼吸器の疾患に効果がある。

 「水の町の女王」と呼ばれるヴィシーは、ローマ時代、すでに温泉の町として知られていた。 中世には宗教戦争で泉を破壊されるなど苦難の時代もあったが、 ブルボン朝のころからフランスで一、ニをあらそう温泉地として有名になった。


ヴィシーにある温泉療養の中心
グランド・エタブリッスマン・テルマル


 19世紀後半のナポレオン三世の時代、皇帝の来訪をきっかけに集中的に都市改造が行なわれ、 中心部が現在の形に整備された。ソルス(水源)公園を囲むように、 温泉療養の中心施設であるグランド・エタブリッスマン・テルマルや飲泉ホール、オペラハウス、 カジノ、ホテルなどが建ち並ぶ。これらの建物は、第二次世界大戦中 親独政権であるペタン内閣の本拠地として使われたことで、現代史にその名を留めている。


ヴィシーのオペラハウス内部