イタリア

 ミラノの医者であったロレンツォ・ベリツィエーリが製塩工場の残滓を利用した温泉治療を行ない、 不治の病を治したことで有名になった。 科学的に裏付けられた温泉治療の効能とリゾート旅行の流行のおかげで、 本業を凌ぐ一大産業になった。湯治客の多くはミラノの新興ブルジョワジーで、 華麗な装飾を持つホテルや療養施設が建てられた。


温泉の吸入療法


 とりわけベリツィエーリ温泉保養館は「世界でもっとも美しい温泉」といわれ、 正面に掲げられた「TERMAE(温泉)」の文字がなければ、宮殿と間違えるほど壮麗な建物である。 また館内も、世紀末のオリエンタリズムに彩られた装飾に埋め尽くされている。


バスタブによる温泉療法