ドイツ

 ベナゼはパリのオペラ座を模した劇場や舞踏会ホール、競馬場、トリンク・ハレ(飲泉場)など、 豪奢な施設を次々と作った。19世紀後半はルネサンス様式のフリードリッヒ浴場やクアハウス、 クアパークなども整備され、まさにバーデン・バーデンの栄光の時代であった。

 フリードリッヒ浴場は大理石や石膏細工で飾られた高いドームをもつ、 世界でもっとも美しい浴場のひとつといわれ、現在も使用されている。建物は16の部屋に分かれ、各室に温度の違う浴槽やサウナなどがあり、これを順に約二時間かけて回る。 火曜と週末は混浴、しかもヨーロッパではめずらしく、水着を着用しないで入浴できる。


バーデン・バーデンの飲泉場トリンクハレ


 もうひとつの代表的な浴場施設は、1985年に市民の健康増進を願ってつくられたカラカラ・テルメである。 温度のちがう7つの屋内外のプール、また6つのサウナ、ジムやマッサージ室のほか治療施設も併設され、 ヨーロッパ一の規模を誇る。いずれも夜10時まで入れる。夜間はライトアップされ、 中世の町並みが浮かび上がる様子は見応えがある。


カラカラ・テルメの屋内温泉