イギリス

 それまで田舎の湯治場でしかなかったバースは、18世紀、貴族の社交場と化し、 そのための町づくりが急激に進められた。「ポンプ・ルーム」や「アセンブリー・ルーム」など、 劇場やコンサートホール、舞踏会の会場、カジノを備えた娯楽施設が作られた。 また「ロイヤル・クレッセント」と呼ばれる三日月型の住宅街など、 今日目にする壮麗な建築群はこうして作られた。

 ローマン・バスの源泉からは今もなお46℃の多量の湯が湧き出し、遺跡の浴槽を満たしている。 が、なんとこの湯には触れることすらできない。1973年に発生したバクテリア汚染で、 現在バースの温泉は入浴できないのだ。


ローマ時代の温泉遺跡「ローマン・バス」


 しかし嬉しいことに、現在、新しいスパ・プロジェクトが進行中である。遺跡に隣接した場所にバース・ストーンをガラスで包み込んだ新スパを建設し、 さらに中世以来のクロス・バスやホット・バスを復活させるという。自然環境に配慮し、 最新技術を駆使した総合施設が完成し、名実ともに温泉が蘇る日が心待ちにされる。


バースの「スパ・プロジェクト」