地震に強い木造住宅

 ツアー初日、全員午前10時に能代市「木材高度加工研究所」(秋田県立大学)に集合。関西方面からの参加者が半数ちかくいたが、夜行列車による長旅にもかかわらず、疲労の気配はまったく感じられない。

 まずは、鈴木有教授による講演からスタート。教授は、一貫して地域の気候風土に適し、環境と共生する木造住宅のあり方を研究しているが、今回はLVLと呼ばれる「単層積層材」で作られた「中空円筒柱」についての話が中心であった。この中空円筒は軽くて丈夫、しかも地震に対する強度もあり、杉材の有効利用にもつながる画期的な木質複合材料で、すでに能代市の小学校建設にも利用されている。

  次に同木工研構内にある実験住宅に移動、構法の異なる三種類の住宅に入り、これまで重ねてきた耐震実験の概要についてレクチャーを受けた。さまざまな実験結果の話を聞いていると、日本の伝統的な構法を取り入れた地域型住宅が、これからのすまいの方向性を示しているように感じられた。



鈴木教授による木造耐震建築の講義風景


単層積層材の説明を受けるツアー参加者


木工研にある実験住宅。三棟は、ことなる構法によって建てられ、
いろいろな角度から耐震実験が行なわれた