ニュージーランド
 
 ニュージーランドは南北ふたつの島からなり、細長い国土に沿って火山帯が走っている。そのため地下活動が盛んな北島中部をはじめ、全国に温泉が点在している。19世紀にヨーロッパ人が入植し、テ・アロハ、ロトルア、タウポ、ハンマー・スプリングスなど国内約12ヵ所に温泉リゾートを開設した。それ以前、これらの地域には、8−9世紀ころポリンネシアから移住してきたマオリ族の集落があった。マオリの人びとは、古くから温泉を病気の治療以外にも暖房や料理など幅広く利用してきた。20世紀に入ると政府が温泉治療に注目し、これらの温泉リゾートを国際的保養地として売り出そうとしたが定着しなかった。現在の温泉施設は、主にレクリエーションを目的としたものである。多くは都会から離れたキャンプ場やスポーツ施設に隣接した温泉プールであるが、屋外労働のあとの風呂がわりにも利用されてきた。
 
湯温38℃のミネラル温泉
プール形式の大人用温泉
 
 代表的な温泉であるロトルアは、北島の首都オークランドから南へ車で3時間、地熱地帯の中心部、ロトルア湖の南岸に発展した国内最古のリゾートである。ここは、かつて巨大勢力を誇ったマオリのアラワ族の中心地であった。マオリの村を再現したタマキビレッジでは、マオリの伝統文化を体験できる。また観光客向けに整備された伝統的な温泉施設「ポリネシアン・スパ」では、手入れの行き届いた自然の中で、ミネラル成分をたっぷり含んだ温泉やプール形式の温泉を楽しむことができる。