日本占領時代、各地に和式の浴場がつくられ、今もその影響が残る。大浴場に併設している家族風呂は、使用ごとに湯を張る個室形式で、順番待ちの行列もできる。一般に脱衣所がなく、浴室内の棚に衣服を置く。屋外の温泉プールや日本風露天風呂も人気があり、こちらは水着着用で利用する。飲料水を持って入場し、昼寝や体操をしながらゆったりと楽しむ人が多い。
最大の温泉地・北投温泉は台北中心部から地下鉄で40分、台北の奥座敷として有名である。1893年にドイツ人が最初のホテルを建設して以来、日本人の経営する旅館や保養所が次々と増え、歓楽温泉街を形成していった。今も残る星乃湯(逸邨大飯店)は畳敷きの和風旅館で、このほかにも「熱海」や「京都」といった当時をしのばせる屋号が残る。1960年代後半にはベトナム戦争で駐留するアメリカ兵や日本からの男性ツアー客が急増したが、79年に公娼制度が廃止され、健全な観光・保養温泉地として再生した。
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