フォーラム開催に先立ち、午後1時より大館市内にある木造建築の見学会が行なわれた。最初に訪れたのが、秋田県指定有形文化財に指定されている「北鹿(ほくろく)ハリストス正教会聖堂」で、明治25年(1892年)に建造されたギリシア正教の教会建築である。地元曲田(まがた)の豪農・畠山市之助が私財を投じ、信徒とともに屋敷内に建設したもので、東京・神田のニコライ堂の関係者が設計したものと伝えられる。
 
北鹿ハリストス正教会聖堂の外観
 
教会入り口付近に飾られている鐘
 建物は天然秋田杉を使用した木造平屋建で、広さは約50平方メートル。屋根は寄棟造、外壁は下見板張りとなっている。平面は十字形をし、天井は八角形に板を張って浅いドームを形づくるビザンチン様式の教会堂である。

 次に訪れたのは、市の東北方に舞い降りた巨大UFOを連想させる「大館樹海ドーム」である。平成9年(1997年)に竣工した世界最大の木造ドームで、完成当時は建築雑誌だけでなく、多方面で紹介されて話題を呼んだ建築だ。今もっとも期待されている建築家のひとり、伊東豊雄の設計であるが、これにより芸術選奨文部大臣賞、グッドデザイン賞など数々の賞を受賞した。

 最大の特徴は、秋田杉の大断面集成材を使用した屋根トラスだ。杉材としては前例のないもので、樹齢60年以上(直径20センチ超)の秋田県産材を約2万5千本使用、ひき板にして30万枚、集成材の量は2千472ピース、4千300平方メートルにものぼる。

 
樹海ドーム内部
屋根トラスは3次元CGで設計された
 
樹海ドームのはりと、ジョイント部分

 内部に入るとその広さもさることながら、アーチ状の天井を覆うはりの見事さに圧倒されるばかりである。屋根に使用したテフロン膜からは自然光が降り注ぎ、柔らかい光線にグラウンドの人工芝が鮮やかに映えていた。