Municipal Houses Constructed Using Akita Cedar
並材を使う意味

 現在、大量の輸入木材によって国産材の消費が減少し、しかも森そのものが荒廃しているな かで、ひとつの住宅建設プロジェクトが注目を集めている。


Photo:Yoshihiko Hakamada
町営住宅「山根団地」全景。遠景は七座山方面

 それは、秋田県二ッ井町に99年完成した町営「山根団地」である。すべて二ッ井産の秋田杉を使用し、地元の大工・工務店によって伝統的な構法で建てられた。第一期7棟、第二期10棟の計17棟20戸。全棟平屋建てで、2DKから4DKまで4タイプある。
 このプロジェクトは、二ッ井町の木材供給組合「モクネット事業協同組合」が展開している「モクネット運動」による成果のひとつである。同組合は作り手、住み手、木材業者、木材産地が一体となった産直ネットワークを形成し、良質で、しかも適性価格の木造住宅による住まいづくりを展開している。またこのほかにも、地域振興、自然環境保護などさまざまな活動を行なっているグループである。今回の町営住宅建設も、じつはモクネット運動に共鳴し、産地を訪れた都市の作り手や住まい手の声が契機となって実現した。「秋田杉の町」を標榜しながら、二ッ井には地元産の杉を使った住宅が見あたらない、という指摘を受けたのであった。


Photo:Yoshihiko Hakamada
高齢者タイプの二世代住宅アプローチ。
内部の左右にベンチが設置されている。上部に見える、耐震性にすぐれた伝統構法の木組みが美しい。また、手前下部に見えるのが二ッ井特産ゼオライトの束石(つかいし)


Photo:Yoshihiko Hakamada
同住宅のダイニングキッチンと居間。
雪国の住宅は、寒さのために部屋を区切る習慣があるが、引き込み建具の使用により、季節に応じて調整できる。床板は3cmの厚さがあり、 感触もよく断熱性にすぐれている


Photo:Yoshihiko Hakamada
高齢者タイプのこの住宅は、一棟に2DKが二組ある二世代住宅。 二戸分で約115平米

 木材はすべて杉の「並材」を使用した。並材というのは木の節がある木材のことで、割安ではあるが、家づくりにおいては敬遠されてきたものである。しかし、森林の持続という観点から見れば、こうした木材をどんどん使うことで森の循環作用が促進され、荒廃防止にもつながる。節そのものは弱いものではないし、木の特質が変わるものでもない。むしろ、既成概念をくつがえす新しい価値観の発見とも言える。木材の普及だけでなく、木や山についての啓蒙活動を実践してきたモクネットが、このような杉の有効活用につながる並材使用を提案するのは、ごく普通のことであった。