Mokunet



埼玉県朝霞市にある「もくねっとハウス」
小屋組は大正時代の小学校のものを再利用し た。
設計=丹呉明恭建築設計事務所、施工=初雁木材


同ハウスはモクネットの関東圏における活動拠点であり、
またモデルハウスも兼ねる

木のネットワークづくりをめざす

「加茂の住宅と診療所」(新潟県加茂市)
設計=丹呉明恭建築設計事務所、
施工=菊田建設住宅
1階の居間は小屋までの吹き抜けで、2階床を桟敷に使って舞台にもなる設定。
板材は五分と一寸のモクネット規格材

 世界有数の森林大国であるにもかかわらず、日本の森を取り巻く環境はきわめて厳しい。国有林野特別会計は厖大な赤字を抱え、民有林も維持と経営に苦しんでいる。秋田杉の産地二ッ井でも、そうした事情は変わらない。外材におされ、需要が伸び悩むなかで森の荒廃は進み、町の財産である杉を十分に活用できない状態だ。
 こうした状況のなか、二ッ井町在住の加藤長光さんは、平成2年(1990)にモクネット事業協同組合(以下、モクネットと略記)を設立した。  組合設立前、加藤さんは商都大阪で商いの基本を修行していた。その後二ッ井にもどり、内装業をしながら商工会青年部員として活動していた。しかし、町が活性化するためには、地元の基幹産業である林業、木材・住宅産業の活性化が不可欠であると判断し、仲間の部員とともに昭和63年(1988)、株式会社木創を設立するとともに、林業を視野に入れた国産材の活用を図る「ネットワーク21・森林問題を考える会」という市民運動(埼玉県狭山市)に参加し、勉強を開始した。「木のネットワーク」を意味するモクネットは、この時の地域おこし運動と市民運動が母体となって誕生したものである。






同、北側全景