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秋田流酒道講座

 佐々木三知夫

 秋田ディレクターズ・ミーティング(ADM)の集まりで、酒をテーマにするならば、ぜひ酒道と いうものを皆で研究し、いずれ「秋田流酒道」をつくろうではないか、とこんな話を提案した。
 特にむつかしいことではない。「遊び心をもって、正しい酒の知識、楽しい酒の飲み方、人生 修養に役立つ酒の美学を学び、啓蒙・実践することによって、秋田流の酒の道を確立する」というのが酒(趣)旨である。
 「道」といっても、眦(まなじり)を決して事に当たろうというのではない。「遊び心」というところに注目願いたい。野暮にならずにスマートに。何事も秋田流、これが要諦である。



♪ お前来るかと 一升買って待ってたよ アラオコサノサ
  あんまり来ないので コラヤノヤ 飲んで待ってたよ
  オコサデ オコサデ オントダネ

 これは秋田民謡「おこさ節」の一番であるが、秋田では酒席で待ち人が来ない場合、先に飲んでいてもよかったらしい。そういえば、酒場で皆が集まる時に全員が揃うまで、「練習」と称して飲んで待っている。だからこれは、秋田流酒道のひとつと言ってよいのであろうか。

 日本人は、茶道、華道、柔道、剣道となんでも道を極めるのが好きである。それならば酒道というものがきちんと残っていてもよさそうなものだが、あまり多くは見かけない。酒を飲んでいて酔っぱらってきたら、そんな面倒なことはどうでもよくなってきたのであろうか。それとも、堅苦しいことを言う酒飲みは敬遠されてきたのであろうか。それならば、堅苦しくない「秋田流酒道」を 考えてみたい。