●玉川水系発電所の概要
Outline of hydroelectric power plants at Tamagawa waters
 当社が玉川水系で発電を行なっている生保内発電所、夏瀬発電所、神代発電所、先達発電所の合計認可出力は、7万6,500キロワットで、これは田沢湖町、角館町、西木村、中仙町、太田町、仙北町、美郷町の全域と、大曲市の一部に供給できる電力量に相当する。
<生保内発電所>
 「玉川河水統制計画」のなかで国策会社である東北振興電力(株)により建設され、昭和15年に発電を開始(当社が設立した昭和26年5月に当社に譲渡された)、田沢湖を水がめとして利用する貯水池式の水力発電所で、県内ではもっとも大きい。おもに電力需要の多い時間帯に発電しており最大出力は31,500キロワット。また、春には融雪水を貯めて潅漑にも利用している。
<夏瀬発電所>
 昭和28年に発電を開始、生保内発電所で利用した田沢湖の水に、先達川と生保内川、堀内沢の水を加え、電力需要にあわせて発電している。最大出力は2万キロワット。
<神代発電所>
 昭和15年に発電を開始、毎日一定の発電をしている。最大出力は1万9,700キロワット。
<先達発電所>
 昭和23年に発電を開始、落差150メートルを利用して発電する水路式発電所である。最大出力は5,300キロワット。発電に利用した水は、田沢湖へ導水し、玉川からの酸性水を希釈する役割をも担っている。

Photo:Tadahisa Sakurai       神代発電所

●夏瀬ダムと神代ダム
Natsuse dam and Jindai dam
 当社の夏瀬ダム(有効貯水容量約200万立方メートル)と神代ダム(有効貯水容量約300万立方メートル)は、田沢湖から潅漑用水供給地点までに至る過程での落差を利用した発電用ダムで、貯水容量は小さいが潅漑用水、洪水防止の「水がめ」としての役割を果たしている。
 融雪期や洪水期は下流の洪水防止を計るため、また、渇水期は潅漑用水、生活用水補給のため、下流の水量に変動が生じないよう毎日水位を調整している。
Photo:Tadahisa Sakurai

神代ダムと調整池

●玉川ダム
Tamagawa dam
 国土交通省「玉川ダム」は、雄物川水系の右支川、玉川の上流に建設された多目的ダムで、昭和46年に予備調査を開始、20年の歳月を経て平成3年4月に完成した。同ダムは、建設省(現・国土交通省)のダム技術の総力を結集して開発されたRCD工法[注]と呼ばれる方法を用いた重力式コンクリートダムで、洪水調節、河川環境保全等のための流量の確保、農工業用水の補給、都市用水の供給、水力発電を行なうなど、用途は多岐にわたっている。有効貯水容量は約2.3億立方メートル。
 また、ダム事業の一環として、玉川の河川水の中性化、田沢湖の水質改善を目的とした中和処理施設を設けている。平成元年10月に試運転を開始、平成3年4月から本格運転を始めた。これにより、徐々に水質改善が図られてきている。

[注]RCD工法というのは、コンクリートの運搬と打設をダンプ・トラック・ブルドーザー・振動ローラーなどの汎用機械を用いて、超硬練りのコンクリートを全面レヤー方式で打設する工法。
Photo:Tadahisa Sakurai 玉川ダム 中和処理施設