氷河期の生き残り「ハリザッコ」
Harizakko - survivor of the glacial era

 六郷の清水には「ハリザッコ」という小さな魚が棲んでいる。体長は3から5センチくらいの淡 水魚で、正式にはトゲウオ科トミヨ属の「イバラトミヨ」という。ハリザッコと呼ばれるとおり、針もし くは棘のような背びれを9本持ち、水中に丸い巣を作ることでも知られる。
 秋田県ではほかに、近隣の千畑町、中仙町、平鹿町、そして十和田湖に生息が確認されて いる。県外では、北海道と青森、山形、新潟の東北各県に限られる。それではなぜ、ハリザッコ は日本の北部にしか生息しないのかと言えば、この魚は氷河期を生き抜いた遺存生物である からにほかならない。ハリザッコが生きていくのに適した環境は、水温12から15度Cの湧水で、 しかも一年を通して枯渇しないことが条件である。環境の変化が著しい今日、ハリザッコが安心 して生息できる水場は次第に減っている。六郷の清水でも、藤清水、沼清水などわずか九つ を数えるのみという。
 ハリザッコは安全な環境のシンボルであると同時に、環境の変化を人間に教えてくれるバロメ ーターでもあるのだ。

 Tiny fish, only 3 - 5 cm long, called "Harizakko", meaning spiny fish in the local dialect, live in clear water in Rokugo. They survived the glacial era and now can only live in clean spring water between 12-15 ℃. Harizakko is a symbol of Rokugo's healthy environment, as well as a barometer of environmental changes.


氷河期からの生き残りといわれるハリザッコ