体内の海 Sea in the Body


Courtesy of NASA/JPL/California Institute of Technology
日本上空四国・瀬戸内海付近(1994年4月)
 人間の血液のなかから血球と蛋白を除くと、ほぼ海水と同じ成分になる。つまり、 人間の身体のなかには海がある、と言ってもよいのだ。そしてこの「体内の海」こそ、私たちの祖先が海から誕生した証拠であると考えられている。また胎児はある期間、母親の体内で魚そっくりの形になり、鰓まで生じるという。私たちの生命は海で誕生したに違いない、と思わずにはいられな い。
 私たちの身体の、70から80パーセントは水分である。それでも毎日、水分を摂取する。ビール瓶に換算して、およそ3本から5本も必要とする。しかし、水分を摂取して排泄することで、 「体内の海」を清浄に保つことが可能となり、こうした水の「循環作用」によって人 間の生命は維持されている。

 人類のみならず、地球上の生きとし生けるものすべてに欠かせない水は、まさに 「生命の源」 でもある。35億年前、地球に生命が誕生することができたのも、水があったからこそ可能であった。水は海、川、湖そして氷河、極氷と姿を変えて存在する。総量13億8900 立方キロメートル。絶え間ない循環作用によって、この水は生物に命を与え続ける。
 水が液体で存在するための温度は、一気圧のもとでは凝固点273.15度Kから沸点373.1 5度K(Kは絶対温度)の間である。広大な宇宙空間のなかにあって、地球という惑星の表面温度がほぼ280度Kであることは、ほとんど奇跡と言ってもよく、この奇跡が生命の誕生というさらなる奇跡をもた
らしたのである。








 Human blood, minus blood cells and protein, is mostly seawater. There is a sea in our body. We take in a high-volume of water everyday.
  The "Sea in the Body" is kept clean via a circulation system that takes in water and voids waste, supporting human life.