ふつう、温泉とは文字通り“温かい湧き水”のみを指すと考える人が多いと思われる。しかし1948年(昭和23)に制定された、温泉開発や利用について規制する「温泉法」には、次のように定められている。

 温泉とは「地中から湧出する温水、鉱水および水蒸気、その他のガス(炭酸水素を主成分とする天然ガスを除く)で、湧出口での温度が摂氏25度以上のものか、鉱水1kgの中に定められた量以上の物質が含まれるもの」とある。つまり25℃以下でも、規定物質を一種以上含んでいれば「温泉」といえることになる。

 一方、鉱泉は“冷たい湧き水”ととらえられがちだが、環境庁の「鉱泉分析指針」では、鉱泉とは「温水と鉱水の泉水」と規定しており、従って“温かい鉱泉”というものも存在する。では両者の違いはなにかというと、水蒸気やガスを含むか含まないかというだけであって、ほとんど同じと考えていいようだ。もちろんこれは法規上の問題であって、ふつう温度だけでいえば沸かさずに入浴できるものを温泉、それ以外を鉱泉というのが一般的ではないだろうか。


美人の湯として知られる鶴の湯温泉の「白湯」。
酸性泉で高血圧、皮膚病、リウマチ、糖尿病などに効く。
飲用した場合は、糖尿病、痛風、便秘などにも良い