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太古の海からの贈り物 | ||||||||
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初めて訪れた人は例外なく、木造建築の偉容を目にして感嘆の声を漏らすに違いない。県北藤里町で育った樹齢200年から250年のヒバの巨木を惜しげもなく使った建物は、総床面積400坪相当、日本全国どこを探してもこれほど豪華な木造の温泉施設はないだろう。
当地に温泉が湧出したのは平成8年8月のことであるが、土地を所有している高松木材の先代社長高橋松之助さん(平成11年に96歳で他界)の年来の夢が実現した瞬間であった。というのは、絶対に温泉は出ないと専門家から反対されたにもかかわらず、地質学を独学で勉強していた関係から湧出を確信、私財を投じてついに掘削に成功したのであった。 地下700メートルから湧く湯量は毎分260リットル、41.5度の強塩泉である。県の分析センターの分析によると、ヨウ素イオンの含有量が37.6ミリグラムという驚異的な濃度で、全国の温泉のなかでもトップクラスの高数値である。アトピーなどの皮膚病によく効き、美肌効果も抜群である。殺菌作用のほか、手術後のリハビリ、運動機能障害、高血圧などにも有効であると、専門家も折り紙を付ける。 湯はおよそ一千万年前の地層から湧いてくるというが、それは新生代初期「鮮新世」の地層に当たる。その頃、大きな地殻変動があり、海水が地下に閉じこめられたのだという。つまり、ここの温泉は一千万年前の海水が温められて現代に甦ったもので、適温、有用成分、湯量と三拍子揃った「奇跡の温泉」なのである。 自ら建物の設計を手がけた現社長高橋大和さんは、木材・建築のプロであるが、若い人に在来工法による木造建築のよさを知ってもらいたいこともあって、純木造の建築を建てたという。場所によっては天然秋田スギを用い、ヒバとの木肌の違いによるデザイン効果を狙っている。
父親の信念を子が受け継ぎ、類い希な温泉として形に仕上げるという、親子二代の想いが結実した温泉は人気が高く、市民の憩いの場として地域に欠かせない存在となっている。 |
[泉質] ナトリウム−塩化物強塩泉(含ヨウ素−強食塩泉) [適応症] 皮膚病、冷え性、婦人病、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、消化器病、痔疾など |