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野趣あふれる露天風呂 | |
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泥湯の集落に近づくやいなや、たちまち硫黄のにおいが鼻を突き、噴煙が立ちのぼる山肌が目に飛び込んでくる。山々に囲まれたその先に、ひっそりと肩と寄せ合うように家並がつづき、なつかしい湯治場の風景を演出している。家並みの一番奥に位置する奥山旅館は、新しい木造の建物をすべて黒塗りにし、周囲の雰囲気にうまく溶け込んでいる。かつては「川の湯」と呼ばれていた名湯である。 |
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秘湯の面影を残す泥湯温泉全景。右手が奥山旅館
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泥湯温泉は歴史の古い温泉で、1200年前にはすでに近在の人びとに利用させ
ていたようである。宿が開設されたのは、延宝8年(1680)という記録が残っている。昭和35年(1960)にバスが開通するまでは、ランプの宿として有名な、まさに秘湯中の秘湯であった。強酸性の「目洗いの湯」と呼ばれる小さな源泉は、古来、眼病に効くと評判で湯を持ち帰る湯治客があとを絶たない。
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大きな空間を占める岩組の露天風呂
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湯小屋の雰囲気を残す屋根付き露天風呂
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奥山旅館の岩組み露天風呂は豪快で気持ち良い空間である。空を見上げながら 湯に浸かっていると、四季折々、時間の移ろいにしたがってさまざまな自然の表情を体感できる。明るい陽光の下、満点の星空、チラチラ雪の曇り空と、どんな場面でも充足感が体に満ちあふれてくるようだ。また、道をはさんだ反対側には、木組みの風呂がふたつ並んだ新しい屋根付き露天風呂ができた。かつて「湯小屋」と呼ばれた湯治場独特の浴場をモダンな感じにしたもので、岩風呂とは一転、いかにもひなびた温泉場の風情を再現している。こちらには石造りの内風呂もある。なお、母屋にある室内浴場は杉の天井、床は石巻(宮城県)の石を使用した雰囲気のある温泉だ。冬場は脱衣所の床を暖房し、湯冷めを防ぐという気遣いに、宿のきめ細かいサービス振りがうかがえる。 |
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明るくこざっぱりとした客室 | 秋田の味覚を堪能できる料理の数々 |
周辺は新緑・紅葉の季節はことのほかすばらしく、山歩きの拠点には最適だ。
西側の尾根をひとつ越えると硫黄鉱山跡の川原毛地獄、天然の露天風呂である川原毛大湯滝(別項参照)もある。なお、近郊には有名な木地山こけしの工房も
ありファンも多い。 8月には「 七夕絵とうろうまつり」「大名行列」 (湯沢市)、
「西馬音内(にしもない) 盆踊り」 (羽後町) といった祭りの会場まで無料送迎してくれる。
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[泉質] 単純硫黄泉 [適応症] 高血圧、動脈硬化、リュウマチ、末梢循環器障害、糖尿病など |