趣向をこらした人気随一の宿

 乳頭温泉郷のなかでも、ここ鶴の湯温泉はほかの温泉群から離れた山あいに位置している。バス道路から遠いこともあり、15,6年前までは湯治専門客のほかには登山客や秘湯好きなマニアをのぞき、いまほど人は訪れなかった。それが現在、紅葉シーズンの期間ともなれば、半年前の申し込み開始当日にすべて予約で埋まってしまうほどの人気振りである。秋田はもとより客は全国から集まり、雑誌やテレビの取材も多く、知名度も抜群だ。
 
早朝の混浴露天風呂(上)
女性用露天風呂 (右)
 しかしこうした人気のある宿であるにもかかわらず、風呂はもとより、食事などのサービスに遺漏はない。雰囲気作りのうまさは、秋田の温泉のなかでも屈指であろう。客が集まる要素は十二分にある。
 
鶴の湯名物の「芋の鍋」 イワナの串焼きなど
別館「山の宿」の客室
 乳頭温泉郷のなかではもっとも古い元和元年(1615)の開湯で、当時は「田沢の湯」と呼ばれていた。寛永15年(1638)には二代目秋田藩主佐竹義隆公が湯治に来たと記録にある。藩費で温泉開発が行なわれたことから、「佐竹の隠し湯」と言われた。現在、当温泉の名物となっている茅葺きの長屋「本陣」は、警護の侍たちの宿舎であった。
 温泉は混浴用・ふたつの女性用と計三つある露天風呂をはじめ、白湯(美人の湯)、黒湯(子宝の湯)、中の湯(眼っこの湯)、滝の湯、内風呂とさまざまある。泉質はいろいろ異なっているので、好みや適応症に併せて選べるのがよい。

 料理は、地元の郷土料理を独自にアレンジしたもので、山芋と山菜を味噌で仕立てた「山の芋鍋」が名物である。また、炉端を囲みながら炭火で焼くイワナの串焼きも好評だ。周辺一帯は山菜の宝庫で、根曲り竹のタケノコはここが本場である。
 なお、宿の手前約1キロに別館「山の宿」がある。地元の雑木で建てた曲がり家造で、露天風呂のほか全室風呂付となっている。
鶴の湯温泉入り口の本陣外観
 
[泉質]
炭酸水素泉、食塩硫化水素泉など源泉6つ

[適応症]
婦人病、胃腸、神経症、高血圧
糖尿病、リウマチ、切り傷など
 
[鶴の湯温泉]

〒014−1204 秋田県仙北郡田沢湖町田沢先達沢
TEL0187−46−2139  FAX0187−46−2761

料金=8,000円〜15,000円(2食付)
外来入浴=400円 8時〜17時00分

*別館「山の宿」の連絡

TEL0187−46−2100  FAX0187−46−2800


 
[交通]
秋田新幹線田沢湖駅、同駅から乳頭温泉郷行きバスで約30分、田沢湖高原下車。ここより送迎バスあり
[問い合わせ]
田沢湖町観光情報センター TEL0187−43−2111