[七座(ななくら)山] Mt. Nanakura


Photo:Akira Ishida


秋田県立博物館蔵

写真と菅江真澄の絵で比較した七座山。画中右上には七座山の座(倉)の呼称が 記さ れている

 真澄の絵には、七座山を背景に上流へ向かう舟が描かれているが、このあたりが一里の渡しの中間点である。

 七座山は、主峰の権現座(287メートル)のほか、烏帽子座、蓑(箕)座、三本杉座、芝(柴)座、大座、松座の七つの峰(座)からなる連山である(座名は時代によって多少異なる)。古くから修験道における修行の場であり、またそれぞれが神の座として信仰の対象になっていた。
 西側は日本海側からの風の影響を受け、高山性の植生であるのに対して、東側斜面(写真、絵ともに東側)は見事な天然杉と広葉樹(ブナ、イタヤカエデ、ミズナラなど)の混交林となっている(杉80パーセント、広葉樹20パーセント)。天然杉は150〜300年、広葉樹は80〜180年の林齢である。藩の御直山(おじきやま)として、また対岸の七座神社の境内林として保護されてきたため、原生林として今日にいたっている。


Photo:Akira Ishida
七座山には樹齢300年を越える野生の杉が林立する

  Mt. Nanakura is a chain of seven peaks. Since ancient times, this has been an ascetic place to practice mountain worship, and each peak has been worshipped as a holy place, inhabited by a god. The mountain is covered with primeval forests composed of 150 - 300 year-old natural cedar and broadleaf trees. The forests have always been preserved with great care by local people.